out-of-humor2
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サメやなくてトラ
「虎鮫」
本人のみならず、佐山閣下をはじめみんな気に入っているようです。
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ゴルフ狂正伝「sezonnoonna」
 ゴルフ屋に勤める随分前の話。Kさんは、確かセゾンだったと思うが、カード入会勧誘の仕事をしたことがあるという。
 勧誘といってもセゾンカウンターのあるショッピングモール内でパンフレットを配るだけの仕事だが、そのとき発生した次の事件を、僕はもしかすると当事者であるKさん以上に「際どい話」だと思っている。
 
 カウンターの隣に小部屋があり、そこで大まかな業務内容を聞かされ、いよいよ働く段になって、ではこれに着替えてくださいと「可愛いセゾンの女性社員(Kさん談)」にTシャツと綿パンを渡された。女が退出したのち、Kさん、Tシャツを手に取り広げてみると明らかに小さい。サイズを見るとMだとある。が、「一般的なMサイズより確実に小さかった(Kさん談)」。
 
 そのころ既にKさんは押しも押されぬデブであったので、これはさすがに小さすぎはしまいかと不安に思いながら、おそるおそる首を通した。
 結果、乳や腹のだらしない脂肪の盛り上がりにピッタリと、非常にボディコンシャスな、全身タイツの如きテイストでTシャツは地肌に密着し、しかも裾を引っ張れども腹が隠れぬという有様。

 5分後にカウンター前に集合してくださいと可愛いセゾンの女に言われていたので、Kさん慌てに慌てて、少しでも生地を伸ばそうと裾から袖から首周りから、あらゆる部分を引っ張るなどしてアガいてはみたが、腹も隠れぬほどの極小Tシャツがそう易々と大きくなるはずもない。(綿パンは最上部のボタンこそ通らなかったが、これほどのチンチクリンはあるまいと思われたTシャツに比べればまだしも尋常であった)。
 
 さらに運の悪いことに、その小部屋というのが「死ぬほど暑かった(Kさん談)」。文字通り、これは致命的だった。己の服のあちらこちらをせわしなく引っ張っていると、そのせわしなさが災いしてか途轍もない発汗量で、また、間もなくこの姿で可愛いセゾンの女の前に参上せねばならんと考えれば、そのプレッシャーでさらに発汗は促進された。

 ついには、まだ働く前だというのに頭皮からの汗で前髪はまばらな束状になり、眼鏡は曇り、そして何より悪いことには、最前借り受けたTシャツをものの数分でビチョビチョにしてしまい、乳首や腹の毛といった「見られたくない部分(Kさん談)」が、そうしたKさんの切ない宿願とは正反対にクッキリと透けて浮かび上がってしまっていた。
 
 周りでは、着替え終えた者がどんどん退出し、カウンター前に整列してゆく。とうとうKさん一人が残された。もう行かねばならない。意を決して、Kさんは小部屋を出た。

 温泉で女がするように胸を手で隠したり、若干ハスに体を構えたり、あるいは微妙に後ずさりして他の者の影に身を置くなどして、Kさんはセゾンの可愛い女の話を聞いた。それから「ではお願いします」と可愛い女が可愛く張り上げた声を合図に、三々五々他の者が散っていくなか、Kさんはひとりもじもじと佇んでいた。合図を済ませ、キビスを返したセゾンの可愛い女の5メートルほど後方で、ビショビショに濡れた水辺の妖怪のような小デブ男は、まだ佇んでいた。
 
 だが、やがて決然とKさんは一歩前に出たという。
 前に出て、自分の胸を、あるいは自分自身を指差し「これでいいすか?」と言った。しかしこの声は届かなかった。カウンターの奥には5、6人のセゾンの女たちがめいめいデスクに向かってなにやら作業をしていたが、誰にも届かなかったという。そこでもう一度、

「これでいいっすか!?」

 とKさんは強い調子で言った。
 
 全員が振り向き、Kさんを見た。初めは何事が起きたか状況を掴めぬ様子であったセゾンの女たちの顔が、数秒のちにはみるみる曇った。あの、可愛いセゾンの女がKさんの全身を冷たく見定めながら歩み寄り、一瞬言葉を詰まらせたが、「…あ、はい」とだけ言い、あまり近寄りたくないというような素っ気無さで、すぐにカウンターの奥へと引き返した。
 
 その後、Kさんのほうも逃げるようにその場を立ち去り、そのまま数時間に渡って入会勧誘を続けたが、言うまでもなくそれは失敗に終った。一人の入会者も斡旋できぬどころか、ろくに話も聞いてもらえなかったという。
 
 ところで、あの瞬間、セゾンの女たち全員の蔑視にさらされるなか、自らが吹き上げる蒸気により白濁したレンズの奥でKさんが何を見据えていたかというと、全員の女の顔を見ていたのだという。
「みな可愛かったですわ」とKさんは言った。
ゴルフ狂正伝「ボディービル頭」
「中古クラブシーンの三島由紀夫」こと三島は(ゴルフ狂正伝「三島を煙たがる」ゴルフ狂正伝「三島の疑惑」参照)、2006年の3月末に入社し、5月初旬に辞めたので、勤務期間は正味1ヶ月と数日にすぎなかった。しかしこの期間の短さを鑑みればまずまず良い仕事をしたと思える程度には、阿呆な逸話をいくつか残している。

 市内城東区の実家から枚方まで徒歩で通勤(!)するということ自体、僕には信じられない話だが、彼はこともなげに次のように言っていた。
「いやいや結構近いんですよ。絶対akaさんが思ってるより近いですよ。僕ほんとはね、もっと早く家出てね、枚方のどっかのプールでひと泳ぎして、サウナ入って、で、汗流してから出勤したいんですよ。いずれやりますよ、それは。いずれね」

 また、一度ふとしたことで腹筋についての話になり、「正しい腹筋運動のやり方知ってますか?」と聞くので知らないと答えると、ほんの数分前まで肩をすぼめて仕事の愚痴をこぼしていたとは思えぬ驚くべき快活さと俊敏さで、颯爽とバックルームへ僕を導き、ロクに掃き掃除もしていないコンクリートの地べたに躊躇無く寝転んで、いそいそと腹筋の準備を始めた。
「正しい腹筋運動のやり方」とは、一口に言ってしまえば、30センチ高ほどの台に足の先を乗せ、仰向けの体勢から極めてゆっくりと体を起こすというものであった。しかしそのときはあいにくバックルームに手ごろな台が見つからず、三島の唐突な「動き出し」の機敏さに呆気に取られた僕を尻目に「ま、今回は台がないんでちょっと邪道やけど」と独り言を漏らしたのち、合いの手(?)ときれぎれの吐息の入り混じった、気色の悪い、しかし奇妙な迫力を備えたインストラクションが始まった。

 じっくりじっくり、恐ろしくじっくりと上体を始動させ「これっ」、45度角まで「こういう感じっ」体が来て「分かりますっ?」、90度角まで来「このくらいのスピードっ」、また起こすときと同様の遅さで体を倒していきながら「帰りもっ」、倒しながら「これっ」、とにかくゆっくり「こういう、ねっ」倒しながら「このスピードっ」、背中が地べたにふれる寸前で体を止めて「ここで停止っ」、しばらく止めて「ここで停止ぃ…」、みるみる顔が紅潮し「フッ!」、頬の肉を痙攣させながら、

「維持っ!、維持っ!」
 
 そしてまたゆっくりゆっくりと体を起こしていくのである。
 ここまで見たときレジカウンターに客が来て、僕は仰向けで45度ほど体を起こした三島をうっちゃって中座したため、腹筋の実演レッスンは終ってしまった。
 そして、
「分かりました?。あれくらいのスピードでやらないと駄目なんですよ」 「はぁ」
「これをね、1日10回でいいんです。毎日やれば効いてきますよ
「ふーん、それなら俺でもできそうですね」
「いやあ、でも実際やれば分かりますけど、結構キツイっすよ」
「まあでも、やれば少しは腹も引っ込みますかね」
「下半分だけですけどね」
「下半分だけ?」
「あれは腹筋の下半分用の運動ですからね、上半分用はまた別にありますからね」
「ふーん」
 と、ここでまた客が来て、残念ながら「上半分用の運動」とやらをご教授いただけずに終ったことは、今となっては悔やんでも悔やみきれない。
 ところで「維持っ!、維持っ!」と鋭く叫んだ彼の勤務期間が僅か1ヶ月に過ぎなかったということは少しもおかしいことではない。昔、いみじくもスチャダラパーが「ゲームだけには見せるガンバリ」と喝破したように、人間誰しもある特定の事柄にのみ発揮するコラエ性を持っている。三島の場合、それがボディービルだったというだけだ。単にそれだけの話である。
ゴルフ狂正伝「Hさん対チルドレン~その2」
 【前回のあらすじ】
 <身長200センチに達しようかというデカイ子と極めてガラの悪い(?)アラクレ2名を含む7、8人の小学生がHさんの店にクラブを買いにきた。店外に並べた激安クラブを物色する彼らの様子をしばらく眺めていたHさんだったが、彼らがクラブを買う理由はそれを振りかざしながら我が店を襲撃するためではないかという疑念が不意に沸き起こり、のっぴきならぬ身の危険を感じて…>
 
 そう思うといてもたってもいられなくなり、子供らのどんな小さな動きも見逃さぬ、細心の猫のような注意力でHさんは全身をこわばらせたのだった。
 
 そのときアラクレの一人(これをアラクレAとしよう。最もヤクザ的な資質を持った子供)が「オマエ、コレデエエヤンケー」とイカツイ語調でデカイ子に言いながら、一本のクラブを手渡した。
 デカイ子はそれをしげしげと見つめたり、ぎこちなく構えてみたりしたのち、「これあかんわ」とポソリと言った。そして「ナンデヤ!」と恫喝するようにアラクレAが聞いたとき、彼はこう言ったという。
「だって僕左利きやもん」
 アラクレAが渡したクラブは右利き用のものだったのだ。Hさんは、アラクレAの気の短そうな引きつった顔と、デカイ子の肩から顎にかけての堂々として実に頼もしいラインを交互に見比べながら、そのやりとりを聞いていた。しかしアラクレAが事も無げに言った次のセリフを聞いて、背筋の凍る思いがしたという。

「ベツニエエヤンケ、ボケ」
 
ひ、左利きやと言うてるのに…。別にええやんけとはどういう了見だろう。すなわちゴルフクラブとしては用いないということではないのか。武器か?。やはり武器なのか?)

 Hさんはいよいよ青ざめたが、続けざまにアラクレAがガラス越しに店内を見ながらこう言ったという。
「オワッ!!、見テミ!、店ン中ギョーサンアルヤンケー」
 反射的に、しかし何気ない動きで、今しがた居た場所からジリッジリッとスライドして入り口の扉の前に移動するHさん。子供らの入店を、特にいきり立って先導するに違いないアラクレAの進入を水際でやんわり押しとどめようという腹であった。いかにアラクレAとはいえ、武器さえ持っていなければたかだか小学生であり、また幸いなことに彼は、標準的な小学生のなかでもおそらく背の低い部類に入ると思われるほど小柄であった。なぜならその7、8人の中でも小さいほうであったから。しかし…。

あのデカイ子に押し寄せられたらひとたまりもないぞ。もしシバかれたら、下手すれば死ぬな。デカイ子はおとなしいから自発的に押し入ったりはしないだろうが、もしアラクレAに命令されたらどうだろう。気の優しいあの子は、友達の求めにしぶしぶ応じて突破しにかかるのではないか。しぶしぶといっても、デカイ子の突破力は尋常ではない。突破されたら最後、あとはアラクレA率いる大群が雪崩れ込んでくる。店の商品を振り回し、傷つけ、やられ放題、『学校の窓ガラスを割って回る(Hさん談)』ように蹂躙される…)

「断固入店を阻止しなければならない」とHさんは思った。
「店の中のクラブはね、ものすごい高い値段なんでね、数万…、あ、数十万するのもあったかなァ。クラブに触るのはお断りしてるんですよ。ちょっとでも傷ついたらすぐ弁償してもらわないとダメなんです」白々しくも深刻さを装いながらHさんが言った。勿論大嘘である。
「サワッタラアカンノ?」
「そう…ですね。もう、なにかあったらとにかく弁償、ということになるんで」
 およそ子供の最も恐れる言葉は「弁償」であるというように(おそらくオノレがそうだったのだろう)、しきりに「弁償」「弁償」と繰り返し、アラクレAの士気をくじこうとするHさん。
「フーン」アラクレAはそう言って、またぞろキャディーバッグに入れられた激安クラブを物色し始めた。その間、その場にいた全員が無言であった。ただ、アラクレAがクラブをキャディーバッグから強引に引っこ抜いたり、抜いたのを差したりする耳障りな音だけが響いていた。  

「コラッ!、クラブをそんな乱暴に扱ったらあかん!」
 もし、ここで思い切ってそう叱責すればどうなるだろうか、とHさんは考えた。アラクレAは言うことを聞いてくれるだろうか。大人の威厳に気圧されるだろうか。いや、しかし…、そんな賭けはできるはずもない。なにしろ一言、たった一言だけ、彼が「行け」とデカイ子に命じさえすれば、今度はこっちがやられる番である。店は壊滅し、すべて終わりである。

 そしてついに、Hさんは次のように考えたという。

(初め見たときは、デカイ子、怖いと思ったが、違うぞ。最も怖いのはあのアラクレAである。彼の理不尽な、かつ暴力的な指令をこそ警戒しなければならない。この集団は彼の一声で暴徒にもギャングにもなるのだから。あまつさえリーサルウエポン(デカイ子)も控えている。彼を怒らせてはいけない。逆に言えば、彼さえ抱き込めばこっちのものである。安泰である…)

 その結果、Hさんがどのような懐柔策を採ったかといえば、ここに書くのも忍ばれるほどに卑屈であった。

 アラクレAに対して1本500円のクラブを100円にまけてやり、それを見たアラクレの片割れが(これをアラクレBとする)が「ウソー、オレモマケテヤー」と声を荒げたのでこれもまけてやり、「僕も…」と控えめに便乗する残りの子らに対しては「すみませんね、これがイッパイイッパイですわ」と一度はニベなく退けながら、アラクレAに「ウソヤン!、皆マケタッテヤ」とスゴまれれば慌ててしまって「じゃあ…、しゃーないですね」と、実にやすやすと翻心する。
 
 甚だしきは、アラクレBが100円で購入したクラブでブンブンと素振りをし始め、まずまず往来のある歩道であるから注意しなければならぬところを、そのあまりにイキの良い振りように見とれてしまって、

「ナイスショット…」
 
 と声をかけたというのだ。

 Hさんが、まさしくどこぞの社長を接待する構えで彼らに接していたことがうかがえるが、それにしても、見ず知らずの小学生の、しかも素振りに対して「ナイスショット」と言ったのは、相当稀な話ではないか。

 ともかくこうした機転(?)の数々によって窮地を切り抜けたというHさん。しかし心身ともに疲弊したのだろう。前編の冒頭に書いたように、並の虚脱ぶりではなかった。
 だがここでHさんが見せた策、すなわち“集団(小学生である)のなかから対象を探し出し、そして媚びへつらう”という態度が、僕には実に興味深い。
 
「search and destroy」(イギーポップ&ザ・ストゥージズ)ならぬ「search and flatter(媚びる)」とでも言うべきHさんの「方法」は、かつて「一vs多のケンカでは、相手の集団のボスをまず狙え」と言った大山倍達の「方法」とある面で同じであり、またある面では著しく異なっている。しかしいずれにせよ、そのような策を小学生にまで用いなければ済まぬところにHさんの特異さはある。
 
 蛇足ながら付け加えれば、Hさんが肩で風切って去るアラクレの背中に、「I wanna be your dog」(イギーポップ&ザ・ストゥージズ)と呟いたかどうかは、我々余人の知るところではない。
ゴルフ狂正伝「Hさん対チルドレン」
 昨日の夕方、Hさんが息を切らした調子で電話をかけてきた。もっともこの人の電話は、どんな調子でかけてこようがクダラナイ内容と相場は決まっているのであるが、このときばかりはいつもと少し様子が違い、なにか怯えたような、ほとほと疲れた果てたような感じで、かすかに声が震えている。
「今、チェホンマンの子供みたいな奴が店に来た。クラブ買うていった!」と言う。
 “チェホンマンの子供みたいな奴”とはいかにも乱暴な比喩だが、詳しく聞けば、尋常ではないデカさの、「約197センチ、120キロ(Hさん談)」の小学生が来店したのだという。
「aka君、観てないかなァ。ちょっと前に『探偵ナイトスクープ』に出ててん。どデカイ小学生。そいつやねん。そいつがさっき来てん!」
 漠然とだが、それは僕も覚えていた。数ヶ月前、「探偵ナイトスクープ」で“ものすごい小学生がいる!”というタイトルだったと思うが、たしかに途轍もなく背の高い小学生が紹介されたことがあった。しかしその子が大阪の西区~大正区周辺の小学校に通っていたかどうかとなると定かでない。むしろ違ったような記憶がある。
「観ましたよ、それ。でもそれってその辺(Hさんの店周辺)の小学校でしたっけ?」
「そやねん」Hさんはキッパリと言った。「どっかで観たことあるなーって思てん。で、ああそうや、『探偵ナイトスクープ』で観たんやと思て、多分そうやと思て、聞いてみてん、その子に」
「なんて聞いたんですか?」
「このあいだ、テレビに出てませんでした?って。そしたら『出たよ』って言うてたわ」

(しかし、そうはいっても僕は自分の漠然とした記憶を否定しきれない。つまり、この話が虚言である可能性はあると思う。みなさん、そのつもりで読んでください)

「デカイでェ、aka君。ドラム缶みたいな胴回りしてるしな。腕も太いしな。うちの店の外に“段”あるやろ。あの、クラブ置いてる“段”。あれ20センチくらいあんねんけど、あれ乗ってもまだ上向いて喋らなあかんからな。とんでもないですよ」
 その子は7、8人の同級生たちと一緒であった。いや正確に言えば、7、8人の同級生たちに連れられて来たという印象だったらしい。ひときわ飛び抜けたガタイでありながら、彼の態度にはどこか引っ込み思案な様子が見て取れた。他の子供たちのように、いかにも子供らしい快活さで動き回るでもなく、集団のなかでも一歩引いたところで、ただジッと佇んでいるのだという。もちろん、だからといって彼の存在感がいささかでも薄まるということはありえないわけだが。

 その7、8人の小学生のうち、彼を含めた5、6人はおとなしそうな子であったという。しかし残りの2人が問題で、これが実にヤンチャそうな子らで「どんな暴走族になるか分からん(Hさん談)」ようなアラクレどもであった。「オマエ十円ダセヤー」「ダマットケヤ、ボケー」などと、非常に下品で荒々しい(?)言葉使いで、デカイ子を含めた集団を統率しているのだという。
 彼ら2人が、キャディーバックにごっそり入れられた激安クラブを粗雑な手つきで物色し、あるいは「引っかき回し(Hさん談)」、手ごろなのを見つけては「オマエ、コレニシトケヤー」などと居丈高な調子で他の者に手渡すのである。

 それを見ながら、Hさんの頭にある憂鬱な妄想が芽生えた。
「この子たちは何をしに来たのだろうか。えらく適当な感じでクラブを選んでいるようだが(子供だからクラブの良し悪しが分かるわけもなく、適当に選ぶのは当然である)、本当にゴルフをするのだろうか。もししないのなら、こんなものを子供が振り回すのは危険である。武器になる。武器として用いられる。はっ!!、まさかその刃がうちの店に、俺に向けられたら!?」

(続く)
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