out-of-humor2
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雑記2/27
●休みがまとまって取れたので、さて、何をしてやろうと考えるも特に思いつかず、結局昼寝、昼寝で明け暮れる。M-1グランプリを無表情で観た。
●「パルテナの鏡」ようやくクリア。前半あれほど苦戦したのに、後半は実に簡単。「慣れ」の問題か、難易度曲線の問題か。でもおもろかった。
●まことに後味の悪い話をしよう。取材が終わって、扇町堺筋線のホームにて電車を待つ。にゃあにゃあと猫の鳴き声が聞こえた。僕ははじめ、幻聴だと思った。また聞こえた。猫を飼っていると、当たり前のことだが、猫の鳴き声を聴くのが特別でない。なんとなく、あ、猫がおるんやなあと思った。が、はたと気づいた。こんなところで猫の鳴き声は普通やないぞ。僕はあたりを見回した。線路の真ん中に灰色の猫がいた。
●あかん、轢かれると思った。俄かに胸がざわざわして、無作為にホームを歩き回ったあげく、線路に降りて猫を救うべきか否か、迷った。電車はそのとき天六に停まっていた。確実にあと数分で、クる。
●周囲のおばはん達も猫に気づき始めた。「あれ、猫ちゃんや。そんなところへおったら、轢かれるで。あっち行け、ほい、ほい」などと手を振り、悠長な構えで観ている。馬鹿な!。そんなことで猫が救えるか!?。僕はいよいよ線路に飛び込んで、猫を抱きかかえ、救出せねばならなくなった。
●しかし、本当にそれは可能なことか?。そう考えるのが僕のいやらしいところだ。軽々と線路へ躍り出て、電光石火の早業で猫を抱き上げ、「召し取ったり!」と叫ぶが早いか身の丈ほどはあろうかという線路とホームとの段差を八艘飛び。バネの効いた身のこなし。超人的な運動力だ。
●だが一般的に言って、野に住む動物を捕まえるのは、これは相当な難事業である。あまつさえ彼はただならぬ臆病さを持っている。敏捷性。これもただものでない。30も後半に差し掛かろうという小太りのオッサンが阿修羅の形相で駆け出し、己に向かって突撃せんとするのを見て、奴さんおとなしく捕まってくれるとは思えない。結果僕は、衆人の見守るなか灰色猫とスッタモンダの大捕物を演じることになる。数分で成し遂げられる任務ではない。「30代猫好き男性、線路の猫を捕まえようと電車停める」。きっとそうなる。ほら、僕は自分のことばかり考えている。
●だが、それなら非常停止ボタンを押したほうが良いか。僕はまた迷った。時間はもうない。傍らではおばはんが「あっち行け、ほい、ほい」とまだ呑気な微笑を浮かべている。電車はすでに天六を出ていた。
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伝説のPOP番外編「総会屋」(改訂版)
 もう5,6年前になるだろうか。
 
 道頓堀のクラブ「ブルーナイル」であるイベントが行われ、そこにおいて音楽業界の、いや、商取引上の暗黙の了解を根底から覆す事件が起きたことを読者諸兄はご存じだろうか。
 
 おそらくご存じなかろうと思う。なにしろその事件はあまりにも瞬間的な出来事であり、その場に居合わせた者ですら、その事件性に関心を示したのは私を含めて数人であったのだから。
 
 その事件とはありていに言えば舌禍事件であって、一言の猛語が、このキャピタリズムの増長が進む世界の時計を間違いなく一瞬止めたのである。
 
 ではその痛快極まりない猛語を発したのは誰か。賢明なる読者諸兄はうすうす分かっておられるだろう。
 
 そう、“伝説のPOPシリーズ”の主人公であるところの、あの男である…。

 そのイベントにはアーティストS氏が出演していて、その男は(以下本稿では、本稿の主人公である男のことを“その男”と呼ぶ。固有名詞として読んで頂ければ幸いである)S氏と昵懇であったため、彼のCDを売るために部下一人を引き連れて直々に物販係として出張ってきたのだった。友情に篤い男なのだ、その男は。
 
 二階の入場カウンターの横に長机を据え、そこにその男は鎮座していた。一階から細い階段を上った客は、正面にまずその男を臨むという仕掛けであった。このロケーションはブルーナイル側にすればある種営業妨害であったかもしれぬ。著しくイベントの性格に反する、ふてぶてしい坊主頭の荒くれが、入り口の所で結界を張って出鼻をくじく構えなのだから。

(そもそもその男、面相はいかつくも不敵で、話し様もどこか突き放したような向きがあり、およそ接客業には向かぬと私は今でも思っている。かつてレコ屋店内において、気の荒そうな客の「すんません、トイレありますか」という問いかけに「ありません」と答えただけで、一触即発のムードになったことさえあったのだ!)

 イベントが始まり、しばらくはその男もおとなしくしていた。私はその男の隣に座っていたのだが、確か「最近の作家では車谷長吉がなかなか渋いのじゃないか」みたいな会話をした記憶がある。今にして思えば、これは嵐の前の静けさであったかもしれない。その男はこののち徐々にその獰猛なる本性を剥き出しにしていくのだから。
 
 このイベントのメインDJは確か常磐響だったと思うが、まさにその常磐のプレイ中に事件は起こった。それまで談笑していたその男の形相が一変し、常磐の選曲を口汚く罵り始めたのである。
 
 フロアは3階にあった。その男は3階から漏れ聞こえる音楽に耳をそばだて、3階へ繋がる階段に向けて、つまり「斜め上方に向かって」野次を飛ばし始めた。

「うわ、これジプシーキングスちゃう?、ジプシーキングスて。ジプシーキングスて。なんじゃそれ。なはははは。アホちゃう。(上を指さして)踊ってんの?踊ってんの?」

 そして最後に「誰が踊ってんのじゃ!?」と吐き捨てるように言った。
 
 前述したように、その男の横には入場カウンターがあり、ハコのスタッフやイベント関係者が陣取っていたわけで、当たり前のことだが皆一斉にムッとした表情になった。だがその男はお構いなしで、

「アホばっかりやで。うわ、これ????やん(曲名忘れました)。なんじゃそれ。(上を指さして)踊ってんの?踊ってんの?」

 その後、その男は正確に曲名とアーティスト名を挙げ、その選曲の悪さをひたすらクサし続けるのだった。

 スタッフやイベント関係者は、今なにが目の前で起こっているのか分からぬ様子であった。それはそうだろう。物販のために場を提供しているという立場で、感謝こそされどメインDJのパフォーマンスにケチを付けられる言われは全くないのである。「ヒサシを貸して母屋を取られた」とでも言おうか、だが、まさかそんな状況に陥るなどとは誰も思っていない。困惑。ただ困惑。文句を言おうにも、今まさしく額にブッとい筋を浮かべて絶叫する大入道を前に何を言えるか。
 
 オロオロオロオロ、苦笑いを浮かべる者、見て見ぬ振りをする者、こちらをチラチラ見ながら内緒話をする者。そして、揃いも揃って困惑の表情を浮かべた羊の群のなかで、雄々しくも角を掲げて「誰が踊ってんのじゃ!?」と暴言を吐く超雄の水牛が一頭!!。
 総会屋だ、と私は思った…。
 
 イベントが終了し、3階からゾロゾロと客が下りてきた。すったもんだはあったけれども、その男の仕事は実はこれから始まるのである。本当の目的は物販であるから。人を野次ることではないのである。
 
 さっきまでのある種緊迫した雰囲気(その男とイベント関係者の間に漂っていた)は、脳天気にも上気した顔つきの客がなだれ込んできたおかげで、一挙に弛緩したムードに飲み込まれた。
 
 その男は「SのCDでーす。どうぞー」とかなんとか、ダルそうではあるが売り文句を言っていた。私は横で「やっぱ一応は言うんや」と思って見ていたのであるが、なかなか売れない。
 
 その男の計算外だったことは、どうやら3階のフロアにも物販ブースがあり、そこでは常磐響のCD-Rを売っているらしいということであった。私は3階に行っていないので実際見たわけではないが、下りてくる客の多くがイベントのフライヤーと一緒に透明の薄いケースに入ったCDを持っている。踊り疲れて暑いのか、それでパタパタと扇いでる奴などが何人も通り過ぎる。
 
 そうなると余計売れない。一応メインは常磐響だから。常磐を見にきた奴がほとんどなわけだから。そいつらのセンスの良し悪しはさておき、事実としてそうなのだから。
 
 その男がだんだんイライラしてくるのが横にいてよく分かった。だって目が血走っていたから。血走った目で「SのCDいかがですかー」。 
 
 いくらその男が叫んでも、客はチラとこちらを見るのみだった。客はほとんど女だった。オシャレな女がチラと見て、鼻であしらうようにプイと顔を背け、また友達と喋る。
 
 その男は、ますますイライラして、ほとんどキレかかっていた。しかし友人のSのCDを売りたいし、また、レコ屋のフロア責任者として、連れてきた部下の手前やめるわけにもいかず。とはいえ目の前を通り過ぎる女は我慢ならん。その葛藤があったのだろう。狂おしいせめぎ合いがあったのだろう。
 
 ある女二人組がその男の前を通りかかった。その男は「SのCDどうですかー」と言った。片方の女が持っていたCDを、まるで定期券を見せるように我々に見せた。それは無言の断りであった。「あたしらコレ買うたから、それいらん」、そう言ってるように私には見えた。
 
 その男の表情が一際険しくなった。
 
 女が通過した。その男は通り過ぎた女の背中を見た。細い背中だった。
 その華奢な後ろ姿に向かって、男が叫んだ。

「満足ですか!?」

私は胸の中で反芻した。「満足ですか…、満足ですか…、満足ですか…」。

 客が買うたCDを言外に否定し、「それで満足ですか?」などと聞くレコ屋が、一体どこの世界にいるというのか?

伝説のPOP~その2
 この男は実在する!!

「伝説のPOP その1」は私が予想した以上のインパクトがあったようで、あれを発表したのち、複数の音楽関係者から口頭でさまざまな質問を受けた。代表的なものをここに列挙し、私なりにコメントしておこう。
 ①【あれは作り話ではありませんか?】
 なるほど。「業界の常識」に慣らされたマジメな皆さんにとっては、彼のふるまいが俄には信じられぬと言うのも無理からぬ事だろうか。
 ②【一体彼はCDを売る気があるのですか?】
 私は今に至るまで、この問いに対する明確な答えを持っていない。「ある」とすれば何故あんなことを書くのか。「ない」とすれば何故わざわざPOPを作るのか。いわば永遠の謎である。だが“群盲象を評す”という。謎は単に我々凡人にとって謎であるにすぎない。
 吉川英治著「宮本武蔵」に、柳生邸を訪れた武蔵が刀で斬られた植物の断面から柳生の腕前を知るというエピソードがあったと記憶する。武蔵ほどの手練れでもない我々が、「平成の柳生」の手によるPOPからその真意を図ろうなどとはおこがましいのである。
 ③【彼はクビになりませんでしたか?】
 クビどころか不気味にも着々と出世街道を歩んでいる。彼の名誉のために言っておくが、彼には担当した売り場のセールスを前年比150%に引き上げた実績もあり、実は大変な商才の持ち主なのである。また己個人が含み笑いしたいがために、周囲の反対を押し切って「変身後のTOSHI」をインストアライブに招聘するという奇策に打って出たこともあったが、その大胆不敵なブッカーとしての才覚も一部で高い評価を得ている。

 さて、いささかお喋りが過ぎたようだ。早速彼の「伝説のPOP」を公開したいが、今回も本稿は基本的に本人に無断であることを、まず断っておく。

159520[1].jpg



アーティスト名:V.A
作品名:「DESTROY THE MONSTERS~millennium GODZILLA remixes~」


解説:'99年にリリースされたREMIXアルバム。写真の「ジャパンマネー動く!!」というキャッチは確認して頂けるだろうか。ちなみに絶対読めないと思うが、POPの左上に異常に小っちゃくボールペンで「ゴジラという名の」と書いてある。ともかく、この雄々しくも仰々しいキャッチが日本の音楽シーンにおけるワン&オンリーな文言であることに異論を挟む者はないだろう。
 以下次のように続いている。「『パチモン成金』こと某メーカーがそこで得た巨万の富を投資してつくった贅沢なリミックスアルバム」
 分からない人のために説明しておこう。“パチモン”というのは'98年に発売された「PUNCH THE MONKEY」(*注)というルパンⅢ世のリミックスALで、彼は発売当時からこの作品を嫌っており、無論“パチモン成金”なんて言葉は世界中でこの男だけが使っていた造語である。以下「え〜!? エ、A.D.F〜!?、ア、アタリ〜!?」などと参加アーティストの豪華さについて赤字でもって大げさに驚いて見せているのであるが、一番驚くべきなのは、原稿も後半にさしかかったというのにまだゼニの話で引っ張っている彼の了見であろう。その後「そんなことはともかく、音の方はなかなかの佳作」と取って付けたように褒めた後、ラストで再び「ジャパンマネーこそが成し得た好企画」と結んでいる。
 当時“パチモン成金こと”コロンビアエンターテイメントの営業担当者はこのPOPを見て何を思っただろう…。
 ちなみに、この作品はすでに廃盤である。

*注:前回紹介した“やっつけ仕事でお馴染みの”K.Yや、FPM、サワサキヨシヒロといった所謂【いいメンツ】のトラックによって構成されていて、オシャレリスナーを中心にまずまずのセールスを記録した。それにしてもK.Yはパチモンの1に続き2、3、そしてここで紹介したゴジラのリミックスにも参加し、その都度どーでもよい音を残しているのだから、“やっつけ仕事”という表現がいかに核心を突いたものであったかが分かる。
伝説のPOP~その1
 
 この男は実在する!! 

 かつて関西のとあるTOWER RECORDに一人の傑物がいたことを、みなさんご存じだろうか。
 
 あえて名は伏せるが、彼の武勇伝は無数にある。奈良駅前で派手なストリートファイトを繰り広げたかと思えば、アメ村某所で「あの、愛想の悪いタワーの店員や」という理由で数人の暴漢に襲われそうになったこともあった。
 またバイヤーとしても己がくだらないと感じた作品には強権を発動し、たとえ他店が50枚受注する作品であろうが

「じゃ、1枚で」 
 
 と、超然と言い放つため、メジャー・インディーを問わず、全国のレコードメーカーの営業担当者は彼の一挙手一投足に戦々恐々としたものだった。
 逆に己が良いと認めた作品、メーカーには極端な優遇政策を採り、そのあまりの豪腕ぶりに、時に社内にも眉をひそめる者がいたと聞くが、心ある者は彼をタブーへの挑戦者として、またセンスの良い音楽通として認め、賞賛を惜しまなかった。
 ここで紹介するのは、そんな彼の書いた伝説的な店内POPである。彼はそのPOPのなかで、彼の愛する忍法帖や剣戟で見られる殺陣さながらに、あるときは正面から、あるときは幻惑的な動きで駄作を斬り、音楽業界の暗部をえぐり出した。今、このような表現を為せるレコード店スタッフが全国に何人いるか。いや、音楽ライターのなかにもこれほど気骨のある者はいないだろう。無論私も含めて。媒体やメーカーとの関係に絡め取られている我々が自戒するためにも、またそのような場所から生み出される出来レース的音楽評に慣らされたユーザーのためにも、彼の表現を今、世に問いたい。
 なお、写真のPOPは実物で、私が無理を言って本人から譲り受けたものだが、ここでの掲載は基本的に本人に無断で行っている。

121786[1].jpg


 アーティスト名:V.A
 作品名:「YMO-REMIXES TECHNOPORIS 2000-01」

 
解説:'99年にリリースされたY.M.Oのリミックス・アルバム評。「『PUNCH THE MONKEY』以降こういったリミックス・アルバムが乱発されているが、このアルバムは元ネタ良し、リミキサー良しということで内容は保証付き」と、企画モノで儲けようというメーカーの安易な姿勢をチクリとやりながらも基本的には褒めている(100パー本音かどうかは定かでないが)。ことにKEN ISHII、TEI TOWA、まりんの仕事を褒め、キャッチにもあるようにMALAWI ROCKSとしても知られるEMMA & TAROのトラックを絶賛している。
 だがラスト2行で彼は突然牙を剥く。
「その他もとってもいい感じです。(やっつけ仕事でおなじみのK.Yのくだらないワンパターンリミックスを除いて…)
 
 K.Yとは心ある方なら自ずとわかるであろう。それにしても私の知る限り、“やっつけ仕事でおなじみの”というタームがレコ評のなかで使われたことは、現在に至るまでただこの1度だけである。まさに音楽評論の歴史の中に埋もれたキラリと光る名調子といえよう。
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