out-of-humor2
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雑記6/19
●時々行く銭湯に次のような貼り紙がある。『レンタルロッカー以外のところにおいてある「物」は処分しますので、不用なものはおかないでください』。難しい文章だ。まず、これはそもそもパラドックスじみている。そして話をさらにややこしくしているのが、“モノ”という言葉を書き分けている点である。前段のカッコで括られた「物」は、後段の“不用なもの”の“もの”とは別の何かを指すのだろうか。然り、指すのである。書き手の意識がどうであれ、このテキストはそう読まれるのが自然である。では「物」とは、「もの」とはなんだろう。さしあたって、僕には分からないままだ。この銭湯の主は僕に、あるいは筋彫りのおっさんに、何を言おうとしているのか。
●最近立て続けに、昔頻繁に会っていて、現在疎遠になってしまった方々から不意に連絡があり、会った。だいたい僕はライターなどという仕事に携わっているくせに極めて交際範囲が狭く、限られている。それは僕の資質と仕事のやり方に起因しているのであって、僕自身はそのことを誇らしいとも恥ずかしいとも思わないが、少なくともそうであるだけに、一度仲良くなった人たちはやはりいつまでも大切である。元K談社のIさんと現TワーレコードのAさん、お元気で。またいつか会いましょう。
●先日嫁とくだらぬことで言い争いになり、嫁の家に置いてあった荷物を憤慨しながらかき集め、引き払い、西成の自宅に帰ってきた。が、ここ数年、僕は実質的には嫁の家で生活していて、自宅には郵便物やFAXを確認するためにちょろっと帰るだけであったため分からなかったのだが、いざ本腰を入れて生活するとなると部屋の空気の悪さが不快でたまらない。実際数時間過ごすと喉が痛くなってきた。数年間まともに掃除をしていないのだから当然である。しかしながら威勢良く啖呵を切って出てきた以上、「喉が痛くなったからやっぱり戻るわ」などと情けないことは言えない。
●だがここに伏線があり、さかのぼること2週間前、僕は久しぶりに扁桃腺が腫れに腫れて、数日間40度前後の高熱に苦しんだのだった。もうあんな思いをするのは御免である。いささかでも「喉が痛くなる」のは恐怖以外の何ものでもない。
●よって慌てて掃除を始めることにした。が、掃除機の「吸い」がすこぶる悪い。吸うのに時間がかかるだけでなく、折角吸ったものを戻したりする。おそらく喉元のところで止まっているのだろう。
●耐えられん。なにせこちらは「喉痛」への恐怖感で縮み上がっている。決然と自転車に飛び乗り、L○BIに掃除機を買いに行った。販売員のおっさんが実に胡散臭い男で、どういう魂胆か知らないが、いやにサイクロン式を腐し、手入れが面倒だと罵倒する一方で、紙パック式を勧めてくる。僕は「吸い」さえすればなんでもよいので、「じゃ、それで」と言って紙パック式を買った。「ありがとっす」とおっさんは言った。
●それを大仰に抱えて帰宅し、ホースの捩れをものともせず掃除機をぶん回し、一通りゴミやホコリを吸い上げた。が、どうもさっきより「喉痛」が酷くなっている気がする。何か明確に「高熱」へと転じる予感がある。これはホコリだけではないな、と僕は考えた。ウイルスではないか。なにか得体の知れないウイルスがはびこっているのではないか。そう考えると背筋の凍る思いがして、この部屋に放置されていた全ての物にウイルスが付着しているという疑念が沸き、とりあえず目に付いた服とカーテンと布団をゴミ袋に詰め込み、捨てに行き、その足で○トリへカーテンと布団を買いに行った。
●新しい布団を引いて、寝転んでみた。少し自由な感じがした。疲れていたのだろう。そのまま数時間寝てしまった。
●起きると僕はまた震え上がった。なんだか熱っぽい。それに喉の辺りを手で触ると、ポコッポコッとシコリのようなものが、確実な手ごたえとして認識できた。あかん。これは熱が出る。もがき苦しむ恐ろしい未来。それはもはや疑いようのないものだった。残留ウイルスだ、と僕は思った。寝ている間にウイルスをたらふく吸い込んだに違いない。でなければ、こうも急速に喉が腫れるものか。
●また僕は自転車を走らせた。空気清浄機を買いに行った。僕は自分が、これほど空気の良し悪しを気にする人間だとは思っていなかった。しかし「喉痛」への恐怖は、すでにヒステリーの域に達している。その空気清浄機を担いで自転車を漕いだ。空気清浄機はクソ重かった。だが今度こそウイルスを一掃してやるという一念、このヒステリーの一念によって、僕はその任務をつつがなく終えた。
●荒々しくダンボールを開け、空気清浄機を引っ張り出し、早速作動させた。(空気が)「きれい」「普通」「汚い」のランプがあり、初め「きれい」のランプが点灯した。うそつけと思った。この部屋には殺人ウイルスが充満しておる。「きれい」なわけがないだろうが。僕はこの空気清浄機の、空気の良し悪しに対する鈍感さにうんざりした。事実、事実ここにウイルスにやられた人間がいる。その人間を前に、おまえ、「きれい」などと何故言えるか。この役立たずが。
●僕はすっかりくたびれてしまっていた。今日一日でいくらお金を使っただろう。重い荷物を抱えて、自転車を漕ぎ、喉は腫れ、熱のせいで体もだるい。僕は本当に疲れきっていた。僕は恨めしげに、のっぺりとした空気清浄機を見つめた。それは実に平板で込み入った仕掛けも無く、愛想も無く、まったく能が無いように思われた。
●しかしその時、僕はふと閃いて、タバコに火を付け、そののっぺりとしたボディーに煙を吹きかけた。僕は不機嫌な顔で見つめていた。すると、パッとランプが「普通」に変わった。
●僕はなんとも言えぬニヤけた顔をした。
●タバコを吸い終わり、数分間見ていると、ランプが再び「きれい」に戻った。文字通り、空気を「きれい」にし終えたのだろう。僕はもう一度タバコを吸い、煙を吹きかけた。するとやっぱりランプが「普通」に変わった。
●僕はほくほくして、またニヤけた顔をした。
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