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落日の井手神話
 録画していた「草野キッド」を観た。
「マスターズ陸上 男子100メートル」に出場する草野仁を追った内容であった。
 さんざん引っ張っておきながら、結局草野は肉離れにより出場を辞退したのだが。
 それはさておき。
「チーム草野」の一員として、同じく大会にエントリーしていた井手らっきょが負けた。
 この事実に、僕は言いようのないショックを受けている。

「レコード会社対抗大運動会」の影響か、「俊足」と言えばアイドルを指していた80年代の芸能界。その虚構を完全に打ち破ったのは、井手ひろし改め井手らっきょだったといってよいだろう。
 そのラディカルさを、我々は忘れてはならない。
(僕の記憶では『レコード会社対抗大運動会』に、モノマネ芸人として頭角を表し始めていた井手ひろしは出場していた。無論速いには速いが、驚愕すべき存在では無かったような気がする。それはアパッチ健と同程度という意味で)

 当時、60年代の英国ロックなどを聴き、チェッカーズがどうのこうのと騒ぐ周囲を心底馬鹿にする一方で、漫才ブーム~ひょうきん族以降のお笑いを全てフォローしていると自負していた思い上がりも甚だしい中学生の僕にとって、段違いの速力で「アイドル万能」の虚構を彼方に追いやったハゲの小男がどれほど頼もしく、そしてカッコ良く見えたかしれない。
 井手のスピードはガチであった。
 事実、それ以来、少なくとも陸上トラックで行われる短距離走において、井手が負けるところを僕は見たことがなかった。
 井手は勝ち続けた。あのフローレンス・ジョイナーにさえ。
 また同じ頃彼は、そのような麒麟児でありながら、本職においては全裸芸その他の下品極まりないパフォーマンスと、あられもない絶倫エピソードを嬉々として語ることに終始していたのである。
 なんてセクシーな、と思った。男としても芸人としても。
 その後、ケイン・コスギだの照英だの池谷ナニガシだのといった、いわゆるスポーツタレントが雨後の筍の如く登場したとしても、井手のようにラディカルさとセクシーさを併せ持った男は一人としていなかったといってよい。
 
 その井手が負けたのだ。
 練習では50メートルで6秒1という、47歳とはとても思えぬ豪脚を見せながら、本番において、後半無残に失速し、他の草ランナーに次々と抜かれた。
 この歴史的敗戦について水道橋博士は、先日大きな期待を背負いながら凱旋門賞で敗退したディープインパクトになぞらえていたが、あながち誇張ではあるまい。
 僕ですらディープインパクトよりは井手の勝利を信じていたのだ。間近で井手のスゴさを見続けてきた水道橋ならなおさらである。
 
 井手の負けは単に負けではない。少なくとも僕にとっては何かの終わりを意味していた。無論終わりというものは、いつかは訪れるものだ。しかし問題は、その先にうそ寒い光景以外に何も見出せないということである。

 しかし僕にとっては負けた相手が草ランナーであったことがせめてもの救いである。これがその辺のスポーツ自慢の芸人などであれば、さらにタチの悪い憂鬱に襲われることは疑う余地もないことだから。


*本文とはまるで関係ないが、本番前、入念にストレッチを繰り返す草野仁。

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コメント
この記事へのコメント
真樹日佐夫か?、真樹日佐夫やないのか?
2006/10/13(金) 00:31:08 | URL | aka #-[ 編集]
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