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ステンレスの1stアルバム発売
 ステンレスの1stアルバムが発売された。
 結成から実に13年を経て作られたこの作品のリリースにあたって、僕は微力も微力、ほとんど協力とは言えないかもしれないけれども、関わらせていただいた。
 
 彼らは僕の友達である。だから13年の間、その折々にバンドがどのような状況にあったのかを僕はおおよそ知っている。当たり前の話だが様々な事があり、それらは、紆余曲折などとあっさり書いてしまうにはいささか濃密だったかもしれないが、しかし僕はペシミスティックに彼らを語るつもりは毛頭ない。ただ、この作品に彼らの13年もの年月が賭けられていることは疑いがない。

 2ヶ月前、未マスタリングの音源を僕は聴いた。進化していると感じる一方で、僕は彼らが根っこの部分でまるで変わっていないことに驚いたのだった。「メロディの良さ」などという抽象的で、ヌエのようなものに、こだわり続けているのである。そのために、彼らは容易に考えうるはずの様々な選択肢を捨てていると思った。僕はずっと、「メロディの良さ」なんてものは無いのだと彼らに言いたかったような気がする。なぜなら、彼らの姿勢はおそらく滑稽であるから。しかし誰もそれを笑うことはできないはずである。
 
 ボーカルの大谷君が僕に「若いバンドには出せない音でしょ。せやけどオッサンの出す音じゃないけど」と言って笑った。彼の言わんとすることはすぐに理解できたし、そして事実そうなのだろうと思った。しかし、そのとき僕は不意に、その表現は半分当っているが半分は誤っていると感じた。

 ポップミュージックを書くということは、そもそもオッサンの仕事じゃないのかと思ったのである。これは音楽を聴き始めたとき漠然と了解していて、その後より多くの音楽に接するにつれてなし崩し的に忘れていった一つの個人的な「感覚」である。もちろん、ここでいうオッサンとは、今ごろになって押し入れからギターを出してきて懐メロを演奏するような愚劣な連中とは異なる。むしろそういう、音楽とうまく付き合う方法を取るに取れなかった連中にこそあてはまる呼称である。
 
 僕はその「感覚」を忘れていたと書いた。しかし何年かに一度ふと思い出すのである。例えば97年、羅針盤の1stアルバムとラブクライの1stアルバムが、まるで示し合わせたようにほぼ同時期に出た時がそうだった。これら2枚のアルバムは、その当時溢れていたどのポップソングよりも、ポップソングとして優れていて、かつ、それらへの強烈な批判になっていると思った。
  
 余談だが、僕の記憶では「らご」がリリースされる数ヶ月前、某シンガーソングライターが「金字塔」というアルバムを発表していた。その後山本氏が、あるインタビューでその大仰なタイトルを嘲笑し、そういうタイトルは本来「らご」のようなアルバムのためにあるのだと言わんばかりの不遜な態度を取っていた。僕は「金字塔」を聴いていないし、山本氏が聴いていたのかどうかも知らない。だが、山本氏の態度がごく自然な態度だと思えたのを僕は覚えている。
 
 要するに「音楽」にとって、一般的な意味での若さは少しも「武器」ではないのである。それは単にレコード会社にとって武器であるに過ぎない。したがって若いのにすごいとか、若いから可能性があるとか、そういう言い方はすべて空虚である。にもかかわらずそれはほとんど疑われていない。そしてその傾向はますます強まっているように思う。しかし、例えば山本氏以上の「若さ」を持つ音楽家が、若者の中にどれだけいるかを考えてみればよい。ここでいう「若さ」は、もちろん実年齢とは無関係である。

 その意味で、大谷君の言う「若いバンドには出せない音。せやけどオッサンの出す音じゃない」は、正確に言うならば「若くて、同時にオッサンの出す音」である。それらはしかし、見かけほど違っているわけではない。ただ、そのこと自体が「武器」であると言うほかない。

 思い出せば、僕がステンレスに出会ったのも、あの97年であった。それは他人にとっては何の意味も持たないだろうが、僕にとっては奇妙な巡り合わせのように感じるのである。
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2006/12/11(月) 23:57:02 | URL | aka #-[ 編集]
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