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マンガ頭
 今さら何や?、という感もあるが、年末だからいいだろう。亀田兄弟に続いて福岡ではこんな姉妹が活躍しているらしい。

「山田姉妹」

 二者の共通点はオヤジが並々ならぬ情熱(己の人生を賭ける、といったような意味である)で子供に格闘技の指導をし、かつその指導法が「独特」であるということである。
 僕が亀田兄弟のトレーニングを初めて見たとき感じたのは、要するにこれは「はじめの一歩」等の格闘マンガの影響ではないかということだった。しかし亀田兄弟の「ピンポン玉避け」はまだしも「小石避け」のアレンジだが、山田姉妹の「枯葉キャッチ」にいたってはそのまんまである。結局、トレーニング自体は少しも「独特」ではない。「独特」なのは(これも、後述するが、本当は全く『独特』ではない)、マンガに書かれてあることを実行し、継続する姿勢である。

 マンガの影響を強く受けた亀田兄弟の「独特さ」は、トレーニング法にとどまならい。興毅が世界戦に勝ったとき、あるいはそれ以前から「オヤジのボクシングが世界に通用することを示したかった」などと言っていたが、これもそのままのセリフが「はじめの一歩」に出てくる。しかしたとえそれが「模倣」であったとしても、僕は彼が嘘を言っているとは思わない。彼は本気でああ言ったのだと思う。だとすれば、こうした影響は単に練習法を真似るといった程度の影響とは次元が違う。マンガは彼の人間性の最も深い部分にまで食い込んでいる。言い換えれば、彼はマンガのなかを真に生きているのであって、したがって彼また彼らの言動がどこかマンガ的な過剰さを帯びるのは必然である。そして付け加えれば、彼らのことを常識がないといって批判するのは、同様の理由で無駄である。

 さらに、時々彼がヤンキーであるというような言い方を聞くが、それも誤っている。大阪に彼のようなヤンキーがいないことだけは確かである。ヤンキーというのは(それを厳密に定義しないまま話を進めるが)、僕のイメージでは基本的に「仲間」のなかで生きているはずで、彼のように「仲間」を持たず、「家族」と「マンガ」のなかで生きるヤンキーなど僕は見たことがない。つまり、強いて言うなら彼はオタクであり、ヤンキーとは対極にある。「日本人の血からヤンキーとファンシーは絶対消えない」というナンシー関の至言になぞらえて言えば、ああ見えて彼は多分後者寄りだと僕は見ている。

 そうした彼のオタク性を批判するのは容易だろうが、差し当って僕の興味はそこにない。僕が魅かれるのは、むしろオヤジのほうである。なぜなら練習法を決定するのはオヤジの裁量であり、子供に(直接そう言ったかどうかは別にしても)マンガのなかで生きることを強いたのもオヤジに違いないからである。要するに最も深刻なマンガ頭は、おそらくオヤジの頭である。
 
 ええ年したオッサンが少年誌を読み、お、これは使えるやないか、これ、ええこと言うてるやないかと興奮し、大真面目に子供のスポーツ指導に取り入れる。しかし当たり前のことだが、オッサンの場合、単にマンガのなかを生きるわけにいかない。経済的な事情もある、地域コミュニティーとのしがらみもある、いっぱしの教育論も持っている、名声欲もある。それらが混交した複雑な思いを抱えながら、しかしオヤジは子供と一緒にマンガの世界で奮闘しなければならない。素早く、ピンポン玉を投げつけなければならないのである。その意志には、なにかぞっとするような強さがある。無論、滑稽さの裏返しとして、である。

 そして、これが最も重要なことだが、亀田オヤジやあるいは山田姉妹のオヤジは海面に現れた氷山の一角に過ぎない。たまたま彼らの子供が強かったから海面に浮上したまでだ。海中には、無数の「ポスト亀田」、「ポスト山田」らがひしめき合っている。そして彼らは己の普段の行いを鑑みて、亀田親子が日本中からバッシングの嵐にさらされているときでさえ頑として擁護したに違いない。それが自分自身を護ることにほかならないからである。
 
 マンガ頭のオッサンが子供にスポーツを教える。別に格闘技に限った話ではない。野球であろうがゴルフであろうがサッカーであろうが、ありうる。むしろそちらのほうが多いかもしれない。教えられた子供は幸せなのか、あるいは可哀想なのか。そんなこと僕は知らない。というより、僕はその問題に関して曖昧な態度を取らざるを得ない。なぜなら僕自身、この滑稽な風景に見覚えがあるから。
 (続く)
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コメント
この記事へのコメント
昨日、チラッとサッカーを観ました。あの実況の奴の、バルセロナの持ち上げ方はなんなのか?。ポルトガル代表のデコがコーナーキックを蹴った。ゴールには結びつかなかった。しかしあの実況の奴は、ボールが飛んだ、その軌跡を見て「あぁ、上品なボールです」と言った。
こういうのを「太鼓持ちの思想」と言う。
2006/12/15(金) 12:19:00 | URL | aka #-[ 編集]
そう言えば先日、電車の中で「絵に描いたようなヤンキー」を見て感動しました。年の頃15~6、茶髪にソリ込み、眉毛は全ソリ、上下サンタフェ、足下はツッカケ・・・この姿で電車で爆睡し、座席からずり落ちた瞬間に目覚め、「しまった、乗り過ごした!」という顔をして次の駅で降りていきました。ケータイを座席に残して・・・。
2006/12/15(金) 22:41:11 | URL | 宇宙の羊 #-[ 編集]
絶滅危惧種ですね。
そういうオールドスクーラーはめっきりいなくなってしまいましたね。
今、学校はいろいろとブッソウですけども、
僕が小~中のときだって、授業中に校庭を千鳥足で歩いていたような、歯ボロボロの先輩とかがいましたね。あれも理不尽な恐ろしさがありました。

で、もちろんケータイは車内の全員が気付いていて、全員が無視ですか?
2006/12/16(土) 09:42:24 | URL | aka #-[ 編集]
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