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ゴルフ狂正伝「Hさん対チルドレン」
 昨日の夕方、Hさんが息を切らした調子で電話をかけてきた。もっともこの人の電話は、どんな調子でかけてこようがクダラナイ内容と相場は決まっているのであるが、このときばかりはいつもと少し様子が違い、なにか怯えたような、ほとほと疲れた果てたような感じで、かすかに声が震えている。
「今、チェホンマンの子供みたいな奴が店に来た。クラブ買うていった!」と言う。
 “チェホンマンの子供みたいな奴”とはいかにも乱暴な比喩だが、詳しく聞けば、尋常ではないデカさの、「約197センチ、120キロ(Hさん談)」の小学生が来店したのだという。
「aka君、観てないかなァ。ちょっと前に『探偵ナイトスクープ』に出ててん。どデカイ小学生。そいつやねん。そいつがさっき来てん!」
 漠然とだが、それは僕も覚えていた。数ヶ月前、「探偵ナイトスクープ」で“ものすごい小学生がいる!”というタイトルだったと思うが、たしかに途轍もなく背の高い小学生が紹介されたことがあった。しかしその子が大阪の西区~大正区周辺の小学校に通っていたかどうかとなると定かでない。むしろ違ったような記憶がある。
「観ましたよ、それ。でもそれってその辺(Hさんの店周辺)の小学校でしたっけ?」
「そやねん」Hさんはキッパリと言った。「どっかで観たことあるなーって思てん。で、ああそうや、『探偵ナイトスクープ』で観たんやと思て、多分そうやと思て、聞いてみてん、その子に」
「なんて聞いたんですか?」
「このあいだ、テレビに出てませんでした?って。そしたら『出たよ』って言うてたわ」

(しかし、そうはいっても僕は自分の漠然とした記憶を否定しきれない。つまり、この話が虚言である可能性はあると思う。みなさん、そのつもりで読んでください)

「デカイでェ、aka君。ドラム缶みたいな胴回りしてるしな。腕も太いしな。うちの店の外に“段”あるやろ。あの、クラブ置いてる“段”。あれ20センチくらいあんねんけど、あれ乗ってもまだ上向いて喋らなあかんからな。とんでもないですよ」
 その子は7、8人の同級生たちと一緒であった。いや正確に言えば、7、8人の同級生たちに連れられて来たという印象だったらしい。ひときわ飛び抜けたガタイでありながら、彼の態度にはどこか引っ込み思案な様子が見て取れた。他の子供たちのように、いかにも子供らしい快活さで動き回るでもなく、集団のなかでも一歩引いたところで、ただジッと佇んでいるのだという。もちろん、だからといって彼の存在感がいささかでも薄まるということはありえないわけだが。

 その7、8人の小学生のうち、彼を含めた5、6人はおとなしそうな子であったという。しかし残りの2人が問題で、これが実にヤンチャそうな子らで「どんな暴走族になるか分からん(Hさん談)」ようなアラクレどもであった。「オマエ十円ダセヤー」「ダマットケヤ、ボケー」などと、非常に下品で荒々しい(?)言葉使いで、デカイ子を含めた集団を統率しているのだという。
 彼ら2人が、キャディーバックにごっそり入れられた激安クラブを粗雑な手つきで物色し、あるいは「引っかき回し(Hさん談)」、手ごろなのを見つけては「オマエ、コレニシトケヤー」などと居丈高な調子で他の者に手渡すのである。

 それを見ながら、Hさんの頭にある憂鬱な妄想が芽生えた。
「この子たちは何をしに来たのだろうか。えらく適当な感じでクラブを選んでいるようだが(子供だからクラブの良し悪しが分かるわけもなく、適当に選ぶのは当然である)、本当にゴルフをするのだろうか。もししないのなら、こんなものを子供が振り回すのは危険である。武器になる。武器として用いられる。はっ!!、まさかその刃がうちの店に、俺に向けられたら!?」

(続く)
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コメント
この記事へのコメント
それにしてもなぜHさんは、かくも子供にからまれるのだろう。参考文献→「【小心】を巡る三章~山賊に礼を言う男」
2007/01/21(日) 19:15:12 | URL | aka #-[ 編集]
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