FC2ブログ
out-of-humor2
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
質問責め
 年明け早々の話。練習場のフロントの女の子(20歳)と「ハチクロ」がどうのこうのと機嫌良く話していたのだが、「最近読んだなかでオススメの本はなんですか?」と聞かれて、まさか嘉村磯多だなどとは言えず、はたと沈黙してしまった。「きちがいやと思われるので、それは言えん。すまん」と謝った。彼女は森鴎外を読んでいるという。私は「あぁ」と唸った。「鴎外か…」。
 先日、同じ女の子に「最近のマイブームはなんですか?」と聞かれ、「マイブーム、マイブーム…」と言ったきり、言葉に窮してしまった。またすぐに謝ろうかと一瞬迷ったが、今度はしばらく待ってくれと言い、うんうん考えてみたが、いくら考えても無い。それでも、もう少しだけ時間をくれ、なにか出てくるかもしれんからと断って、さらにうんうん苦吟していると、女の子、シビレを切らしたか不憫に思ったか、「じゃ、今年の目標はなんですか?」と言う。「…今年の目標」と力なく復唱し、やれ、仕切り直しだ、と頭を切り替えて、今度は己の目標についてあれこれ思案を巡らせるも、これまた全く無いのであった。オッサンは明らかにウロたえていた。「なんでもいいんですよ、なんでもいいんですよ」と女の子は、走らぬ幼児を諭して追い立てるような口ぶりで言うのだが、それは分かっている、そのなんでもいいような事柄すら無いのだと心のなかで反論し、かかる大難題を吹っかけた女の子を恨めしげに見据えてみるが、彼女に悪気のあろうはずもない。やがて馬鹿らしくなり、「無いで。今年の目標なんて無いでぇ」と、そんなものは無いのが当然だと言わんばかりの大仰な言い方で、一回りも年長のオッサンが追い詰められて露呈したものは、いかがわしい開き直りであったろうか。
「なんかあるでしょ」
「無い」
「ほんまに、なんも無いんですか?」
「無いわ」
「じゃあ、ニートじゃないですか」
 女の子は笑っていた。
「そやな」ここぞとばかりの即答。「ニートや。精神的には完全なニートや」
 わりあい、強い調子であった。

 人生の後輩に勧める一冊の本も無く、マイブームも無く、今年の目標すら持たぬとは、なんと頼りがいのない男だろうか。ところが、実は本人そのことをさほど気に病んでいないふうだから、なお始末が悪い。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
自意識過剰ということでしょうね、結局。
2007/02/10(土) 10:05:05 | URL | aka #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://outofhumor.blog49.fc2.com/tb.php/162-589618b2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。