FC2ブログ
out-of-humor2
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ゴルフ狂正伝「ボディービル頭」
「中古クラブシーンの三島由紀夫」こと三島は(ゴルフ狂正伝「三島を煙たがる」ゴルフ狂正伝「三島の疑惑」参照)、2006年の3月末に入社し、5月初旬に辞めたので、勤務期間は正味1ヶ月と数日にすぎなかった。しかしこの期間の短さを鑑みればまずまず良い仕事をしたと思える程度には、阿呆な逸話をいくつか残している。

 市内城東区の実家から枚方まで徒歩で通勤(!)するということ自体、僕には信じられない話だが、彼はこともなげに次のように言っていた。
「いやいや結構近いんですよ。絶対akaさんが思ってるより近いですよ。僕ほんとはね、もっと早く家出てね、枚方のどっかのプールでひと泳ぎして、サウナ入って、で、汗流してから出勤したいんですよ。いずれやりますよ、それは。いずれね」

 また、一度ふとしたことで腹筋についての話になり、「正しい腹筋運動のやり方知ってますか?」と聞くので知らないと答えると、ほんの数分前まで肩をすぼめて仕事の愚痴をこぼしていたとは思えぬ驚くべき快活さと俊敏さで、颯爽とバックルームへ僕を導き、ロクに掃き掃除もしていないコンクリートの地べたに躊躇無く寝転んで、いそいそと腹筋の準備を始めた。
「正しい腹筋運動のやり方」とは、一口に言ってしまえば、30センチ高ほどの台に足の先を乗せ、仰向けの体勢から極めてゆっくりと体を起こすというものであった。しかしそのときはあいにくバックルームに手ごろな台が見つからず、三島の唐突な「動き出し」の機敏さに呆気に取られた僕を尻目に「ま、今回は台がないんでちょっと邪道やけど」と独り言を漏らしたのち、合いの手(?)ときれぎれの吐息の入り混じった、気色の悪い、しかし奇妙な迫力を備えたインストラクションが始まった。

 じっくりじっくり、恐ろしくじっくりと上体を始動させ「これっ」、45度角まで「こういう感じっ」体が来て「分かりますっ?」、90度角まで来「このくらいのスピードっ」、また起こすときと同様の遅さで体を倒していきながら「帰りもっ」、倒しながら「これっ」、とにかくゆっくり「こういう、ねっ」倒しながら「このスピードっ」、背中が地べたにふれる寸前で体を止めて「ここで停止っ」、しばらく止めて「ここで停止ぃ…」、みるみる顔が紅潮し「フッ!」、頬の肉を痙攣させながら、

「維持っ!、維持っ!」
 
 そしてまたゆっくりゆっくりと体を起こしていくのである。
 ここまで見たときレジカウンターに客が来て、僕は仰向けで45度ほど体を起こした三島をうっちゃって中座したため、腹筋の実演レッスンは終ってしまった。
 そして、
「分かりました?。あれくらいのスピードでやらないと駄目なんですよ」 「はぁ」
「これをね、1日10回でいいんです。毎日やれば効いてきますよ
「ふーん、それなら俺でもできそうですね」
「いやあ、でも実際やれば分かりますけど、結構キツイっすよ」
「まあでも、やれば少しは腹も引っ込みますかね」
「下半分だけですけどね」
「下半分だけ?」
「あれは腹筋の下半分用の運動ですからね、上半分用はまた別にありますからね」
「ふーん」
 と、ここでまた客が来て、残念ながら「上半分用の運動」とやらをご教授いただけずに終ったことは、今となっては悔やんでも悔やみきれない。
 ところで「維持っ!、維持っ!」と鋭く叫んだ彼の勤務期間が僅か1ヶ月に過ぎなかったということは少しもおかしいことではない。昔、いみじくもスチャダラパーが「ゲームだけには見せるガンバリ」と喝破したように、人間誰しもある特定の事柄にのみ発揮するコラエ性を持っている。三島の場合、それがボディービルだったというだけだ。単にそれだけの話である。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
少々風は強いが、晴れ渡った昼下がりにアメ村をチャリでウロウロしていると、「ちょっとすみません、車体番号確認させてもらっていいすか」と若い警察官。常々思うのだが、そういうやり方で盗難車は発見できているのかね。効率はどうか。本当に発見したいのであれば、もっとマシな方法があると思えてなりません。
2007/03/12(月) 10:50:36 | URL | aka #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://outofhumor.blog49.fc2.com/tb.php/167-d767cfad
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。